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「新しい歌14」コンサートで歌われる2篇の詩

  • mcshinok
  • 2022年11月13日
  • 読了時間: 1分


野薊 (のあざみ)         




齧(かじ)った果肉は 風の匂いがした

野を駆けてゆくと

過ぎた日のすべてが よぎってゆく


茨に変わった 野の草のなかに *

点在する鮮血

時が 滴る蜜となって 停止する


あなたは 罪を犯したのではない

いのちを 知っただけ


永劫が 私たちをつつむ

楽園を追われた 今



       創世記 第三章 十八節




箱舟             




天も地も境をなくし

灰色のとばりにおおわれ

来る日も 来る日も

雨は降り続く


かたちの跡もとどめず

浮遊し 滲み出る

虚ろな 地のすべて


板囲いのなかで

身じろぎもせずにうずくまる獣たち

つがいの小鳥たちは 互いの羽のなかに

首を差し込みあって眠っている


孤立する舟の静寂

雨の響き


ひとりでは生きられない

互いの胸のなかで

呟きあうよりほかには


言葉のない闇は

寂しすぎる


わずかな言葉と 夢を

咀嚼(そしゃく)しながら 待っている


雲に 虹が

あらわれるのを



        創世記 第九章 十三—十四節 






 

 写真は我が家の庭の地に落ちた姫林檎の実。最初になった時食べてみたが、食べられないほどまずかった。 今は小鳥たちのレストランになっている。

 
 
 

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